ロシア フードビジネス

現地ロシアからお届けするロシア飲食事情の今

モスクワで一番人気のハンバーガー店

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モスクワの人気ハンバーガー店Burger Heroesのオーナーであるイゴリ・パドストレシュニ氏のインタビュー動画

同店はフードトラックの移動販売からスタートし、今ではモスクワ市内に7店舗を構えます。ロシアの卸業者と特別契約して仕入れたロシア産の高級霜降り牛を使ったクラシックバーガーは250ルーブルと、コスパの高さからモスクワっ子に人気を博しています。(バーガーの原価率は50%近くだそうです。)

最近、Чайхона №1などに代表されるレストランチェーンをモスクワを中心に展開するREATartから2400万ルーブルの出資を受けました。その勢いも駆って今年度中に15店舗まで展開予定とのこと。サンクトへも進出してほしいものです。

ロシア飲食店の看板事情

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あなたがサンクトでカフェやレストランをオープンしたい場合、看板のデザインについて建造・建築コミッティ、通称КГАと非常に不毛なやり取りをすることになります。日本語の文字はだめとか、ラテン文字はロシア語の何%のサイズにしろとか、この色は使うなとか、そういうことです。

自分たちがこのやり取りをしていた時は、外国企業だからいじめられているんだとばかり思っていましたが、こちらの記事によると、どうやら現地の大手チェーンでも同じような目にあっているらしく、レストラン関係者から統一されたルールを作ってほしいという声が上がっているようです。

ちなみにモスクワではすでに導入されているらしく、関係者からの評判は上々とのこと。統一ルールができれば役人のみなさんの仕事も減ると思うし(そのかわり袖の〇も減るかもしれませんが)ぜひとも導入を検討してほしいものです。

ロシアでラーメン店は流行らない?

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ロシア第三の都市ノボシビルスクで飲食店30店舗以上を展開し、同地において圧倒的な地位を築いているデニス・イワノフ氏の発言はロシア飲食市場を読み解く示唆にあふれています。

こちらのコメルサント紙の記事はすでに2年以上前のものですが、同氏はインタビューの中でロシアでは今後日本のそば屋のようなモノレストラン(専門店)が伸びてくるはずだと発言しています。

この発言の背景には、ロシアでは専門店がほとんどなく、例えば日本食レストランでパスタやハンバーガー、トムヤンクン等が提供されていることが常態化していることがあります。これはロシアの消費者の成熟度にも関係していると思われますが、インタビューから2年経った現在もその傾向は変わりません。

日本のラーメン店と同じくほぼラーメン一本で勝負したロシア初の日系ラーメン店ヤルメンは、ロシア飲食市場のセオリーとはあえて異なる手法を取ったアンチテーゼだったわけですが、その試みはもろく敗れ去り、結局メニューを拡げることになりました。今では、一品料理もあって、お酒も飲めて、ラーメンも食べられる、NY一風堂の「ラーメンダイニング」に近いものとなっています。

今後ロシアの消費者が成熟していくにつれて日本のラーメン店のようなモノレストラン(専門店)が受け入れられていくのか、それともロシア特有の性質は変わらず何でも屋的な店が幅を利かせたままなとなるのか、そこを見誤ると痛い目を見るなあと常々思っています。

モスクワとサンクトのフードコート最新事情

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不動産投資大手のJILのレポートによると、モスクワのフードコートで、最大の店舗数を誇るのはベイクドポテトにチーズやベーコンなどのトッピングが載った商品を販売するКрошка Картошкаで、モスクワにあるフードコートの70%に店舗を設けています。サンクトではロシアパンケーキのブリヌイを提供するТеремокが全体の68%のフードコートに進出していてトップとなっています。グローバルブランドとしては、KFC、マック、バーガーキングが3強で手堅く進出をしています。

記事によると、最近の傾向としては、近年成長が著しいファストカジュアルやファインダイニングのセグメントの飲食店が、フードコートにも積極的に進出をしてきていることだそうです。外資系ではシェイクシャック、地場系ではMarket PlaceObed bufet等の進出がその例として挙げられています。また、ラグジュアリークラスのショッピングセンターには、ファインファイダイニングよりもさらに上のセグメントの飲食店の進出も見られ、高級レストラングループのNobuなどの例も見られます。

フードコートを併設するショッピングセンター側としては、ロシアの消費者の成熟に合わせ、購買そのものよりも、そこで得られる体験を重視する傾向を強めており、そういった意味で、今までフードコートにはなかった新しいジャンルの飲食店を誘致して、施設自体の魅力を高める努力をしているようです。

Eatalyが来月モスクワにオープン

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(Ведомости.17.2.19)

Eatalyは生鮮食材やハム、チーズ、パスタ、ワインなどの販売に加え、小規模のレストランスペースを備え、日本を含め現在世界中に30店舗を構える、イタリア発のレストラン&マーケットです。経済制裁の影響で延期されていたロシアでの初出店ですが、来月モスクワで待望の第一号店がオープンするようです。昨日Eatalyが入居予定のキエフスキー駅前のショッピングセンターを覗いてみたところ、絶賛改装中でした。


現在モスクワでは、マーケットとレストランスペースもしくはフードコートを合わせたような形態の施設が増えてきています。ダニロフスキーマーケットウサチェフスキーマーケット最近オープンしたばかりのガストロフェルマ等はEatalyの競合と言えるでしょう。